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M45CQPのスライドは破損しやすいのか?


 M45CQPの販売を開始して今月(2023年1月)で丸4年となるこの機に、今回の記事をお送りしたいと思います。




【CQPのスライドは破損しやすいのか?】


 M45CQPは2019年1月に新発売をし、2022年夏に8回目の生産分を再販したカーボネイトのシリーズ中で最も生産回数と生産数が多いモデルです。


 本モデルは3回目の生産時(2019年12月再販)に、生産数の大部分に「短期間でのスライド割れ」が発生しました。この記事をお読みいただいている方の中にも、当時スライド破損を目の当たりにしたり、そのような事を耳にしたりした方が多数いらっしゃるかと思います。

 その翌年2020年春に当該の生産ロットの全数を対象としたリコールを実施し、4回目の生産分以降に対して「品質管理・検品体制の改善と徹底」を実行しました。

 その後、ご購入後12ヶ月以内のスライド破損の事例は1例もなく今日に至っておりますが、当時この件で多くのユーザー様ならびに流通・販売にお世話になっている各社様に多大なご迷惑と混乱を招いてしまい、今でも反省しきれずにおります。


 一方、CQPモデルには2種類の兄弟機(DOCモデルとNiteShiftモデル)が存在しますが、CQPモデルはM45シリーズの中においても最も生産数が多い基幹モデルである為、製品の基本仕様の変更は全て本モデルを基点として実施してきました。


 これらの2つの経緯があるためか、「スライド破損」と「製品仕様変更」の情報が正確でない形で混ざってしまっているのではないか?と思われる節があり、その混濁した情報に基づいたお問い合わせをいただくことが時々あります。(例:DOCの方がCQPよりスライド耐久度が高い)


 以下では、弊社の手元にある確かな情報に基づいて、M45CQPモデルの「スライド破損」と「これまでに変更した仕様」について改めて整理してお伝えしたいと思います。




【スライド破損件数と製品仕様の変更ついて】


 生産ロットと特記事項を表にいたしましたので、まずはご覧ください。



 表のとおり、2019年の初回生産分と同年12月の3回目の生産分にスライド破損が起こりました。

 

 2019年の初回生産分において、その破損原因として「スライドの部品強度の個体差に起因するもの(15件)」「BB弾の過装填によるもの(2件)」であることが、破損した個体とスライド部品の検品・検証で分かっております。


 同年の12月に再販した3回目の生産分においては、弊社に報告・持込がされたスライド破損件数が実に1200件を超えました。

 最もひどい例では、1発目の動作時にブローバックの衝撃が最も強く加わるスライドの前部が割れ、多くの例では1本目のボンベを使い切るまでに同様の破損が発生しました。

 破損原因は1回目の生産時のような部品強度の個体差というレベルではなく、「原材料(顔料)の選定ミス」という最も初歩的な理由に因るものでした。


※ 3回目の生産分については翌年2021年の春に該当品の全数リコール対応を実施し、その後も今日に至るまで当時のリコール対応をお受けいただいていない製品のスライド破損ついては無償対応を継続しております。



 これらのスライド破損の経緯を省みて、CQPモデルの4回目の生産分から以下の点の見直しを実施しました。


■ 強度の求められる部品の検品基準

■ 生産工場での動作検品条件(抜き打ち検品数・動作回数など)

■ 弊社倉庫に入庫後の動作検品条件(上に同じ)


 また、CQP本体の目立たない部分に生産ロット番号を付して、ユーザー様がご購入されてから時間が経過した後も生産ロットが特定できるようにし、中長期的な期間のスライド破損や不具合の発生件数やその内容を生産ロット別にモニターできるようにしました。表の通り、4回目の生産分より以降はご購入後12ヶ月以内のスライド破損の報告は今日までのところ1例もありません。

 因みに、CQPと同じ内部ユニットを持つDOCモデルとNiteShiftモデルについてもスライド破損の報告はこれまでいただいておりません。


※2023年11月追記

2023年の再生産分より、ユーザー様が確認可能な部位に製造ロットを示す番号を刻印することを停止しております。弊社においてのみ製造時期を確認可能な処置を本体に施し、引き続き品質管理に努めて参ります。


 さて、ここまでのCQPモデルのスライド破損についての経緯をご覧いただいた上で、「スライド破損」と「製品仕様の変更」の情報の混濁が背景にあると思われるユーザー様や販売店様からのご質問をご紹介しながら、弊社が責任を持ってお伝えできる内容を「回答形式」で次項にご案内したいと思います。



【よくある質問と誤解】

「2回目の生産分からスライド内側に新たなパーツを増設したのはスライド破損対策が目的か?」

➡ いいえ。

 スライド裏側に増設された「スライドブロック(部品番号M45#007-1)」はスライド割れを防止するための部品ではありません。

 

 初回生産分の製品仕様では、スライドストップレバーの作動毎にスライド表側の「切欠き(ノッチ)」がレバーの角で徐々に削られていき最終的にはスライドストップ動作が利かなくなりました。それを解消する為に、スライド内側で金属パーツ(=スライドブロック)がスライドストップレバーを受け止める構造にすることで、ノッチの削れを無くす為に追加した部品です。



 2回目生産分から実施したスライドの耐久度に影響する仕様変更としては、リコイルバッファー(部品番号M45#030A)の硬度を下げた(柔らかくした)点です。これは、前項に示した通り、初回生産分においてもスライド破損の報告があった為です。部品強度に僅かな誤差があったとしても、緩衝の役目を果たすリコイルバッファーによって衝撃をより良く吸収・分散させることを目的としています。



「4回目の生産分から素材の見直しが行われている?」


➡ いいえ。


 3回目の生産時の「原材料の選定ミス」が原因となり、極めて多くのスライド割れが発生しました。これを受けて、4回目の生産時より見直し・改善を行った点は、前項に示していますように「生産時から流通直前までの検品レベルの引き上げ」です。 

 スライドパーツについて実施したことは「本来使用するべき原材料と生産方法」と「部品単位での検品」を徹底するという点であり、4回目の生産分よりスライドパーツの原材料を変更したという経緯はありません。



「M45CQPはM45DOCに比べてスライドが割れやすい?」


➡ いいえ。


 主原料になっているナイロン樹脂はモデルを問わず同じです。


 ナイロン樹脂に顔料を混ぜてから成形をしますが、BlackとFDEという顔料の差がスライドの耐久度に有意な差を生むことはありません。また、DOCモデルとNiteShiftモデルの一部の金属パーツ(ハンマーなど)には質感と強度がより高い部品を用いていますが、この部品の違いはスライドの耐久度に関連・影響しません。CQPモデルの上位機であるDOCモデルとNiteShiftモデルのスタイルアップのために採用しています。


「M45CQPのスライドは今後割れないのか?」


➡ はい、であり、いいえ、です。


 3回目の生産時のようなごく短期間での破損が今後一切ないように、品質管理の維持向上を継続していくことをお約束します。この意味では「はい」とお答えできます。


 しかし、形あるものである以上いつかは壊れます。本モデルは動作の度に強力なリコイルショックが発生し、その衝撃が動作の度にスライドパーツを中心に各部に加わり、所謂「経年劣化」が徐々に進んでいきます。

 問題となるのは、「(スライドが壊れるのが)いつか?」ですが、動作の頻度やメンテナンスの状態などに影響を受けるので一概にお伝えすることは難しいです。ひとつの目安として「2万回の動作を超えたら」もしくは「2年毎」のスライドパーツ交換をお勧めします。



 以上、弊社の記録に基づいてCarbon8 M45CQPの発売から今日に至るまでの経緯と現状をご紹介しました。


 本モデルのリリースからの初期、特に3回目の生産分で1000件を超えるスライド破損を起こしてしまったことで、「(CQPのように)CO2ガスガンは破損しやすい」という事実以上の敬遠イメージを作る一因になったのではないか?という心配と反省を、ユーザー様や販売店様から寄せられるご意見やご質問の中に感じております。

 また同時に、弊社が想像する以上に多くの方が不安まじりながらもCO2ガスガンに興味をお持ちであることを一方で感じております。


 そのような現状を見るにつけ、弊社が過去に起こした事態とこれまでの経緯を整理してお伝えすることで、情報の混濁や誤解が原因となっているかも知れない漠然とした不安感・不信感を僅かでも取り去ることができればと思い、今回の内容をお届けすることに致しました。


 今後、弊社製品を選択肢に入れていただいている方々には勿論、既に弊社製品をお持ちの皆さまに内容が少しでもお役に立てば幸いです。




Carbon8製品企画販売元

株式会社ハッチ




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